医師偏在対策内容とは
武見前厚労大臣の発言のような「新規開業を割り当てる規制」のような直接的な開業規制が取れない中で、厚労省が進めている都市部を中心とした開業に対する医師偏在是正策が具体的になってきました。
第一は医師法改正による開業6ケ月前の届け出義務です。これは令和8年4月1日以降に開業する医療機関から適用となります。
その目的は開業迄の6ケ月間に協議の場に出席を要請し、開業予定地域に不足する医療を担って頂けるように要請する為の時間として設けられます。
開業予定地域が不足する医療とは、
・初期救急 ・公衆衛生 ・在宅医療
そのいずれかを担って頂ければ、通常に新規開業が可能となりますが、担う事を承諾しない場合の対策が今回の診療報酬改定で減算措置として講じられます。
減算措置とは
令和8年診療報酬改定において、減算措置が設けられました。
具体的に算定出来ない診療報酬としては
1)機能強化加算 質の高いかかりつけ医機能を評価する
・初診患者に80点の加算が取れる
2)地域包括診療加算 かかりつけ医機能を持つ医療機関を評価する
・再診時に28点又は21点の加算
3)地域包括診療料 高血圧症等の患者に療養上の指導、診療を行う
・患者1人につき1,660点又は1,600点
調剤薬局への対策
今回は医療機関への直接的な対策だけでなく、調剤薬局も巻き込んだ医師偏在対策が実施されることになりました。
医師が多い都市部にはクリニックモールが開設され、薬局1店舗で複数の医療機関の処方箋を受け入れる形となっています。
クリニックモール開設にブレーキを掛ける事で、複数の医療機関開設を止める効果が期待されます。
門前薬局等立地依存減算
2026年6月1日以降に都市部(政令都市や東京23区)で新規に開設する調剤薬局において、医療モールや近隣病院からの処方箋集中率が85%以上の場合には、処方箋1枚当たり15点の減算となります。
減算目的
「患者のための薬局ビジョン」の策定から10年が経過した現在の保険薬局の実態及び損益率の状況を踏まえ、保険薬局が立地に依存する構造から脱却し、薬剤師の職能発揮を促進する観点から調剤基本料を見直す。
中医協の報告では調剤薬局の立地場所は次の通りで ・診療所の近隣62.9% ・病院の近隣19.5%
場所依存の開設状況となっている事が分かります ・クリニックモール5.5%
調剤薬局のモール開設に歯止めが掛かれば、都市部での医療機関開業の減少効果が期待出来ることになり、側面からの医師偏在対策支援効果となるのではと思われますが、一部の大手調剤薬局は利益率が減少したとしても「やめるという選択肢はない」と述べており、来期もモール薬局の複数店舗出店計画を検討しているとのこと。
診療報酬を巻き込んだ都市部中心の開業への歯止め効果が出ない場合には、次の対策が打ち出されるものと思われます。
公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 顧問
株式会社 MMS 代表取締役
佐久間 賢一