厚生労働省が医師偏在対策を着々と実施しています。既に開業された先生方は直接に影響は無いと思われていらっしゃるかもしれませんが、診療所を取り巻く今後の開業状況の変化やご子息、後輩の先生方の開業にも影響を及ぼす問題ですので今回取り上げました。
医師偏在対策が大きく取り上げられたのは、2024年4月7日NHK日曜討論で武見前厚労大臣が「医師の地域偏在を解消するために、地域毎に医師数を割り当てる規制も視野に厚労省内に検討を指示した」と突然発言されたのがきっかけとなっています。
新規開業規制とも取れる発言に驚かれた方も多いと思いますが、厚労省も全く考えていない案ではないと思われますが、これを実施した場合には異常な開業ラッシュを招くことになることが懸念されます。
かつての基準病床数制度による病床規制を行った際の駆け込み病床が今でも病院経営に大きな影響を残しています。その為に直接的な開業規制ではない方法での医師偏在化対策が検討されました。
医師偏在指標とは
医師の偏在状況を示す共通の数値として医師偏在指標が作成されました。これは地域の受領率と医師数を基に計算されますが、医師数は単純な人数ではなく医師の年齢も加味して計算された数値となっています。
医師偏在指標の多い上位1/3地域を医療機関が多数開業している地域と
見做して、今後の開業に際しての対策が立案されました。
対策① 医療法改正
外来医師過多区域の無床診療所への対応強化として
・新規開設の事前届け出制 開業6ケ月前の届け出を義務化
・要請勧告公表 開業予定地域で不足する医療を担う要請に従わない場合名前の公表
・保険医療機関指定期間の短縮 要請に応じない場合は現行6年を3年に短縮
都道府県からの要請
新規開業予定地域で不足する下記医療のいずれかを担うように要請が出される。
・在宅医療
・初期救急(夜間・休日の診療)
・公衆衛生(学校医・産業医・予防接種等)
新規開業届け出を6ケ月前提出義務にしたのは、
要請を協議する場に新規開業予定医師を招き不足する医療を
担うように要請する場を設ける為です。
対策② 診療報酬改定
厚労省からの「診療報酬改定について」の中に医師偏在対策の為の対応が記載されています。
無床診療所の新規開業医が都道府県知事からの要請に従わない場合には、診療報酬上の減算措置を講じることで、医師偏在対策の実効性を高めることとすると記載されています。
加えて、医師多数地域での診療報酬上での更なるディスインセンティブ措置の在り方については、令和10年度診療報酬改定において結論を得ることとすると記されています。
公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 顧問
株式会社 MMS 代表取締役
佐久間 賢一