採用の前に大切なのは、経営者である院長が、『どのような医院にしたいのか』『どのような人材を採用するのか』という医院の経営理念を明確にすることです。
どのような医院にしたいかが明確であれば、「経験値が高い」「人柄がよい」「専門職の有資格者」など求める人材像も明確になります。


◆採用スケジュール
スタッフ募集において、インターネット求人サイトや新聞折込チラシなど一般的な媒体を利用した場合、診療科目や地域そして募集時期によって、応募人数は大きく変わることがあります。また、診療科により必要となる専門職や看護師についてはそもそも病院でも需要が高かったり、求職者も経営安定性が高く福利厚生も充実した病院を希望する人が多く、診療所には集まりにくいと言えます。とはいえ自宅から近い診療所で時間に余裕をもってパートで働きたいという方もおられますので、採用することが不可能だということではありません。
近隣で子育てをしているパート希望の方などはフルタイム勤務ができなかったり、医療事務の資格は持っているけど実務経験が無かったり、即戦力とはいえない方もたくさん応募してくるでしょう。
応募が少ない、戦力となりうる最低限のスキルを持ち合わせていない、診療時間に対して人数が埋まらないなど、採用はうまくいくとは限りませんので、人材募集は早めのアクションが必要です。退職者の最終出勤日までには次の人材を決めておける余裕があるとよいでしょう。
とくに新規開業時の募集の場合、1度の募集で必要人数が集まらないことも想定し、1回目の募集を早めに設定し(開業の3か月前程度)、1回目で必要人材が不足している場合は2回目の募集(開業の1か月前程度)ができる時間的余裕を持っておくことが大切です。


◆募集職種と人数
一般的に必要なスタッフ人数は、診療科目や導入している検査や処置・手術などによって変わりますが、大きな有床病院とは違い、診療所では必要最低限の人数で運営して行かざるをえません。となると、ひとりが欠勤すれば、そのたった一日の診療に与える影響は大きなものになります。だからと言って余裕を持った人数を雇用する余裕はありませんので、複数人のパート職員にシフト制で勤務してもらう体制をとることで回避できるようにすることも選択肢の一つです。その日シフトに入っていない別のパート職員に、欠勤者に変わって出てもらえるような人数的余裕を持たせておくのです。実際に勤務する人数は変わりませんので、人件費が多く出ていくことはありません。
看護師やその他専門職は医療事務に比べて給与も高く集まりにくい為、看護師は准看護師パートも対象にするなど、ある程度門戸を広げるとよいでしょう。


◆募集広告
募集広告では何をキャッチコピーにするかをよく考えましょう。新規開業時であれば「新規オープン」「オープニングスタッフ募集」というコピーは求職者の目を引きます。応募者の中には職場の人間関係に悩んで転職を考えている人も多くいらっしゃいますから、新しい職場で人間関係の構築が全員ゼロからのスタートであることは魅力的です。
給与が高い、休日が多い、残業が無い、専門知識やスキルが身につく、なども求職者にとっては魅力的なワードです。
また、媒体選びも重要です。診療所の職員募集は「新聞折込チラシ」と「とらばーゆ(インターネット求人サイト)」が一般的です。とらばーゆは看護師募集に特化した「とらばーゆ看護」という専門サイトもあり、多くの診療所が利用しています。看護師だけでなく医療事務や専門職の求職者も閲覧し、応募してくることも多いです。
専門職の採用に苦戦する可能性があります。たとえば眼科の視能訓練士(ORT)や整形外科の理学療法士(PT)は地域の限定エリアに配布される折込チラシ経由では集まりにくいでしょう。その地域にその資格を有する人が複数人いる可能性は、医療事務と比較しても、看護師・准看護師と比較しても低いと言えます。最近は各職種に特化したインターネット求人サイトもありますので、予算に応じて職種特化型求人サイトへの掲載も検討してみるとよいでしょう。

媒体特徴利用方法
ハローワーク無料で利用出来る事業所登録を行えば、「ハローワークインターサービス」を利用出来、多くの応募者に見て貰える
インターネット全国を対象に閲覧者が多く、年齢層も若い世代が多い地域を絞り込み難いので、遠方からの応募者の場合には通勤交通費も考慮する必要がある
フリーペーパー広告出稿時のコストが比較的安い希望職種としては、アルバイト、パートが64.3%(タウンワーク調べ)と多くを占めている
折込チラシ近隣地域に限定して配布出来る近隣からの応募者に対しては、不採用の場合には丁寧な対応を心掛ける。
専門職サイト専門職の人にターゲットを絞れるとらばーゆ、マイナビ等、医療従事者専用の求職サイトがある


◆賃金の設定と相場
求人誌や求人サイトを運営している会社が職種別・地域別の時給相場資料を持っています。
これは、掲載を申し込めば閲覧させてくれます。
各求人媒体運営会社が実際に掲載したデータの値で年度別に持っており、職種別・地域別の「最低時給」「最高時給」「平均値」「最頻値」などが掲載されています。この中で「最頻値」を参考にするとよいでしょう。もっとも多く募集時に使われた金額だからです。「平均値」は概ね「最頻値」より低くなります。
また、近隣の同科目の診療所の求人も参考にできればよいでしょう。市区くらいのエリアで探せば数件は直近半年以内くらいには募集が行われていることが多くあります。求人媒体運営会社に問い合わせれば教えてくれます。そこと同額にしておけば見劣りもしません。

所属
WEBディレクター
依田 俊介
投稿日 2023.02.10

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