採用面接の一番の目的は「人物を見抜く」点にあります。院長の思いやクリニックの理念も大切ですが、
それ以上にまずは「相手がどのような人か」を把握することが先決です。そのためには、面接の場面で相手
の考えや価値観に触れる質問を投げかけ、そこで見え隠れする人柄や対応力、コミュニケーションスキルな
どを適宜キャッチし、できるだけ多くの情報から判断できるようにしておくことが重要です。今回は、面接
時にぜひ取り入れていただきたい6つのポイントについて解説します。

1.履歴書は事前にチェックし、質問すべき点を明確にしておく
 採用のスピードUPを図るために、履歴書を当日お持ちになる方も多いのですが、できる限り事前にチェッ
クされることをお勧めします。特に、面接時間を短時間しか取れない場合は、余計な話で時間を使ってしま
わないよう、質問すべきことを明確にしてから面接に臨む方が望ましいといえます。面接を急ぐ場合は、面
接日を決めてから、履歴書を送ってもらっても良いと思います。
 特に、時間のない中で履歴書を見てしまうと、「学校中退」「無職の期間がある」「誤字の多さ」などを
見落としてしまうこともあります。これは実際にあった事例ですが、前職でトラブルを起こした職場のこと
を、履歴書に書いておらず、面接でそれに気づかず、何も聞いていなかったために、同じようなトラブルに
巻き込まれたケースもあります。

2.前職の退職理由は必ず聞く
 中途採用の多いクリニックの採用では、前職の退職理由は必ず全て聞きます。結婚や出産の場合を除き、
今回も同じ理由で辞める確率が高いからです。このときに、職場の雰囲気に合わなかった・体力的にきつか
ったなどという理由があがってきた場合には、具体的にどのようなところが合わなかったのか、どのような
業務内容・労働時間できつかったのか・・など、具体的に掘り下げて確認をします。

3.当院の志望動機を聞く
 なぜ当院を選んで応募されたかという点も、重要な判断ポイントです。
本当は家が近いからという理由でも、ホームページを調べるなどして、「〇〇に惹かれました」と回答され
る方は、コミュニケーション力はある程度取れると判断できます。要は「相手からどのように見られている
か」を考えて動いているかを見るということです。一般的にも、面接で志望動機を聞かれるのは容易に予想
がつきます。そこに対してきちんと準備をしているかどうかによって、先を考えられる人かどうかを判断し
ます。反対に、身だしなみに違和感を覚える場合、こちらの質問に適切な受け答えができない・話が必要以
上に長いという場合は要注意です。

4.オープンクエスチョンを取り入れる(相手に話させる)
 例えば、「はじめに、ご自身の言葉で自己紹介をお願いします」という質問から入り、話し方や表情など
をチェックします。そこからより具体的に、「受付で“保険証を忘れた”と言われたらなんと声をかけますか
?」「先輩があるスタッフの悪口を言っていたらどうしますか?」など、本人の考え方や接遇を問う質問を
投げかけます。このとき、抽象的な表現で回答してきた場合は、「具体的にはどのようなことでしょうか」
「例えば、これまでそのような経験はありますか?」などと掘り下げて聞いていくことが必要です。相手が
話す時間を多く取ることにより、人柄やコミュニケーション力が見えてきます。

5.最後に質問がないかを尋ねる
 面接の最後に、「何か質問はありますか?」と聞いてみてください。こちらから特に誘導しない状態で、
どのようなことを質問してくるかも重要なポイントです。例えば、すぐに「お休みを取りたい場合は皆さん
どのようにされていますか?」「有給休暇は取れますか?」など、自分の都合を優先して聞いてくる人もい
れば、「どのような準備が必要ですか」「勉強しておくことはありますか?」という前向きな質問をしてく
る方もいらっしゃいます。その人が何を大切にしているかを見る上でも、大きなヒントになります。

6.避けた方が良い質問に注意する
 就職差別になるおそれがあるという観点から、適性と能力に関係がない事項を聞くことは配慮することと
されています。勿論、面接者本人から発言がある場合は構いませんが、こちらから積極的に聞くことは避け
た方が良いでしょう。どうしても、働く上で必要となると判断される事項については、書面などにより「差
し支えない範囲でお書きください」などの一文を加え、本人に選択肢を与えておくと良いでしょう。

<表1:面接時に配慮すべき質問>
  • ●適正・能力に関係のない質問
    ●本籍・出生地に関する事
    ●住宅状況に関する事
    ●宗教に関する事
    ●人生観、生活信条に関する事
    ●思想に関する事
    ●身元調査
    ●必要性が認められない選考時の健康診断の実施
  • ●社会的差別の原因となる恐れのある個人情報の収集
    ●家族に関する事
    ●生活環境・家庭環境に関する事
    ●支持政党に関する事
    ●尊敬する人物に関する事
    ●労働組合・学生運動など社会運動に関する事
    ●購読新聞・雑誌・愛読書などに関する事
引用:厚生労働省ホームページより

面接のポイント整理
  1.履歴書は事前にチェックし、質問すべき点を明確にしておく
  2.前職の退職理由は必ず聞く
  3.当院の志望動機を聞く
  4.オープンクエスチョンを多く取り入れる(相手に話させる)
  5.最後に質問がないかを尋ねる
  6.聞いてはいけない質問・配慮すべき質問に注意する

株式会社 MMS
代表取締役
佐久間 賢一
投稿日 2023.02.08

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