マーケティング先行型だから見えてくる開業後のイメージ

 医院開業をお考えの方なら、一度は診療圏調査という言葉をお聞きになられたことがあると思います。業者から物件を紹介され、その添付資料の一つとして診療圏調査結果なるものを渡されたといったことをよく耳に致します。そのように診療圏調査がその物件の裏付け資料として使われている事例は、物件先行型立地選定の特徴でもあります。Drの開業希望エリアでの物件情報収集→候補物件抽出→診療圏調査にて来院患者数分析→Drに物件提案という流れです。

 私は、この手法には二つの大きな問題点が隠されていると考えています。一つ目は、成功する可能性のあるエリアを最初から狭めてしまっているという問題です。現実的に開業したいエリアと最も成功するエリアは必ずしも一致していない可能性があります。それでもそこに限定して候補物件を探すわけですから、出てきた物件は、希望エリアの中でのベストでしかなく、そのDrが開業可能なエリア全体からみてベストな選択ではないことも多々あります。

 そして二つ目ですが、ご自身の診療科目という観点で競合環境を判断してしまうという問題点です。最近、診療圏分析ソフトを使って人口密度が高くて競合の少ないエリアを抽出するやり方を目に致します。その際の競合の定義は診療科目です。たとえば内科を例に出すと、首都圏では駅前を中心に多くの内科が開業していますが、本来大切なのは、その内科の診療コンセプトです。つまり診療コンセプトに基づき、院長の得意とする診療領域は何か、対象としている患者層は何か、利用患者の利便性や評判はどうかなどを把握した上で競合を見ると、診療科目だけの地図とは全く違うものが見えてくるのです。

 日本医業総研が、これから開業される医師向けに行っている「勤務医のために医院経営塾」では、ワークショップを通じ、この診療コンセプトを考えて頂く時間を多く作っています。そして、その後に立地選定のご相談をさせて頂く機会がありますと、それまで開業希望エリアを漠然とお考えになられて先生方が、より具体的な立地条件のイメージをお持ちになられていることに気づかされることが多くあります。物件探しをする前に、少し立ち止まり、ご自身の強みと弱みを分析し、診療コンセプトを練り上げることから始めてみてはいかがでしょうか。

株式会社日本医業総研

植村氏
投稿日 2022.11.10

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