診療所数10万件の時代、必ず競合する医療機関が傍にいます

診療所は毎年約5000件が開業している業種でありながら、その立地選定に関する手法は他業種に比べ遅れているのではないでしょうか。かつて、競合状況が緩やで、綿密なマーケティング調査などせずとも、盛業する立地が容易に導き出せた時代が比較的長く続いたことで、医師の開業は、様々な医療関連資材販売会社が公開物件を中心に物件情報を複数提供し、その中から気に入ったものを選び開業するという、いわゆる「物件先行型の立地選定手法」が、その業界構図とともに、根付いてしまっています。その一方で、前述のとおり新規開業ラッシュは続き、都市部では既に過当競争と思われるエリアも散見されるようになってきました。市場環境の変化と共に、立地選定手法も進化していかなければならないはずなのですが、必ずしもそうはなっていないのが現状です。

 ではどうするべきなのか。その答えは、日々淘汰が繰り返される熾烈な市場競争下で戦っている他業種の事例を見ればよくわかります。それは、出店計画に際して、自店の強み弱みを洗い出し、コンセプトを決定し、それに合わせたターゲット層はどのような人々なのかと仮説をたて、その人々の生活習慣や行動様式、生活動線の傾向をリサーチすることから始めることが基本になります。そしてそのターゲットの人々に合わせた立地条件を割り出し、適合するエリアがどこになるかを徹底的に調べ上げ、エリアを絞ったところで候補物件の探索を行うというプロセスを経て立地選定を行っているところが多いのではないでしょうか。言わば「マーケティング先行型の立地選定手法」です。

 日本医業総研が、これから開業される医師向けに行っている「勤務医のための医院経営塾」の経営戦略集中講座では、参加者ご自身の強み弱みを書き出すところから始めて、自医院の売りは何なのか、差別化できるところはどこなのかを真剣に考えて頂き、診療コンセプトや経営理念にまとめ上げていくというワークショップを行っています。これまでの100回以上の開催中、医院開業に対して高い志をお持ちの方であっても、より具体的に診療内容を絞り込み、ターゲットとなる患者層を浮き彫りにされているケースは比較的少ないという印象を受けます。

 この医院経営塾がきっかけとなり、ご自身の強みを活かした診療コンセプトを練り上げ、綿密なマーケティング調査から立地選定を行った診療所の立ち上がりが、総じて早いという事実は、決して偶然ではないと私は考えています。

株式会社日本医業総研

植村氏
投稿日 2022.11.10

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